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憧れのオカルト系youtuber

私生まれも育ちも寺なんですけど、こういう家柄には珍しくオカルトとか昔からどハマりしてたんです。
小学校の頃から某匿名掲示板のオカルト版を毎日訪れては洒落怖などの話を漁っていました。
でも最近はもっぱら掲示板でなくyoutubeでネタを探してます。やっぱり動画っていいですよね、わかりやすくて。
怖い話の朗読も読み手さんの声をイヤホンで聴くとゾクゾクってしてしまう。
それでもやっぱり一番いいのはオカルト系のyoutuberさんの動画を見ること。みんなめっちゃキャラ濃いし、全国のスポットを深夜潜入してていつもいいなー楽しそうだなーとか思って見てます。
私の家は躾が厳しくて夜遊びなんてほとんどできなかったから自分ができないことを自由にやっている彼らがなんとも眩しく映っていました。

大勢いるyoutuberさんの中でも特に大好きなのが◯◯チャンネルさんで、男性のAさんBさんCさんの3名がパワースポットや心霊スポットを巡っている様子を動画にしている。
Aさんは超怖がりで愛しいし、冷静沈着なBさんは知識豊富なだけでなく独特な観点でオカルトを分析している。Cさんは無鉄砲でいつも一番に危険な場所に突っ込んでいく。
そんな彼らの掛け合いが毎回痛快で夜な夜な動画を見てしまうんです。

ウチも寺なんだからパワースポット的な枠で遊びに来てくれないかなとか妄想するのですが、地元でもそんなに知名度のない寂れた寺なんだから非現実的よねといつも虚しくなってしまいます。

でもある日気づいたんです。
そうだtwitterからDMしてみよう!!ちょっと大袈裟だけど地元では有名なパワースポットですって紹介すれば来てくれるかもしれない。
でもさすがにウチの寺に来てと言うのは恥ずかしいのとダイマかよって感じなので地元民的なサブアカを作ってそちらからDMをしました。
来てくれたらいいなあ。

ある日部屋でゴロゴロしてたら家(寺)の玄関の方から聞き慣れた声が聞こえてくるのに気づいた。
「◯◯チャンネルのみなさんだ!!!!」思わず胸が高鳴り、姿を見ようと自室(2階)の窓から見下ろすとやはりいつもスマホで見ている3人がウチの家の前で撮影をしている。耳をすましてみると。
Cさん「いやー、ファンの人からパワースポットって教えてもらいましたが・・・」
Bさん「うん、これむしろ心霊スポットだろww」
(ひどーい!確かに寂れているけどいいすぎじゃない?)
Aさん「あれ?あそこの窓に人影見えません?」
(きゃっ、覗いてるのバレちゃったかな??)
Bさん「気のせいだろ とりあえず入ってみるべ」
3人が入ってくる。来客の際にはお母さんがまず対応するんだけど大丈夫かな・・・

Cさん「お邪魔しまーーーす!!」
母「どうもいらっしゃいませ 本日はどのような御用件でしょうか?」
Aさん「少し中を見させていただきますね〜」
母「どうぞどうぞ 大したものはございませんがご自由にご覧ください」
Bさん「古そうな割にけっこう綺麗にしているなぁ」
母「ええ、お掃除は毎日やっておりますので」
Aさん「ここはどういう歴史があるお寺なんだ?」
母「それはですね」Bさん「ここは密教系の宗派の寺で建立は500年ほど前だからかなり歴史あるお寺だったのだな 地域にはこの宗派の人は多くはないみたいだが・・・」
(お母さん!!Bさんとかぶってるよ!!邪魔しないで!)
Cさん「なんかお寺っていうか大きい家って感じの間取り?」
Bさん「本堂は奥の方でここは居住スペースと本堂を繋ぐエリアみたいだな 階段があるな・・・」
母「あ、そちらは家族の私室ですのでご遠慮いただけますか??」
Cさん「とっつげきーーーーー」
母「ああ、ダメですよ!」Aさん「勝手に行くなよwww」
(え??Cさんがこっちに来てる?どうしよう!!部屋着だし、すっぴんだよ〜)
Cさん「2階の一番手前のこの部屋は何があるのか?開けてみまーす!」
私「やめてください!今は開けないでください!」
私は必死でドアを内側から押さえました。流石にこの姿では映れません映るわけにはいきません。
Cさん「あれ〜?開かないな〜?」
Aさん「ストップー!! 鍵かかってるんじゃない? 壊しちゃだめだよ」
(Aさんナイス!ありがとう〜〜〜)
Bさん「次は本堂の方に行ってみるぞ」
(今はお父さんがお勤めしている時間だ・・・)

Cさん「本堂広いなー」
(お父さんは皆さんのことは意に介さず読経を続けている。お願いだから怒ったりしないで・・・)
Aさん「ん?これって・・・お経?」
(あー、密教系のお経ってあんまり聞き慣れないですよね。南無阿弥陀仏だけじゃないんですよ〜)
Bさん「確かにお経っぽいな」
Aさん「なあ・・流石にやばくない?帰ろうよぅ」
(うんうんそれがいいよ もうちょいでお父さんの雷が落ちるとこだったよ)
Cさん「そうだね・・・あとは入り口のとこでエンディングだけ撮ろうか」
(あ、帰っちゃうんだ。お茶くらい飲んでいってくれたらいいのに・・・とりあえず最低限の着替えとメイクだけして・・・)

Aさん「はい!いや〜怖かったですね〜」
Bさん「紹介されたスポットって肩透かしが多いけどここはすごかったな」
Cさん「チャンネル登録、高評価お願いしまーす」

私「待って!!まだ帰らないで。せめてお近づきの印に握手させてください!!」(勢いで手握っちゃった!)
Aさん「うわっ!手冷た!!」
私「すみません 私冷え性で・・・」
Bさん「何騒いでるんだよ。近所迷惑だろ」
Cさん「いやいやこの辺誰も住んでないでしょww」
私「たしかにこの辺はウチしか住んでないですからねー。寂しいんですよ」
Bさん「馬鹿。万が一警察でも来たら面倒だろ」
私「あー確かにたまに夜とか警察の方来られるんですよね。寺に人影が見えたとか通報があるみたいなんです。不審者怖いです」
A「おーい、さっさと帰ろうぜ〜」
私「ふふ、またぜひ来てくださいねー」
(動画アップされるの楽しみだな)

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