洒落怖

おばあちゃんの読経

917 :読経:01/08/28 19:50 ID:fGkGUmmc
その夏、僕は友人の帰省先の自宅に泊めて貰う事になりました。
離れの一階にある部屋で、僕等は酒を飲みながらあれこれ話こんでいました。
夜もすっかり更けたので、僕等は休むことにしました。

友人がいいました。

「二階にうちのバアチャン居るだろ?
ジイチャンと死に別れてから、ちょっとな・・・。
突然夜中に大声で御経読んだりするんだよ」
僕は深く聞くことを避け、いつのまにか眠りにつきました。

918 :読経:01/08/28 19:51 ID:fGkGUmmc
どのくらい経ったか、真夜中、
「ドンッ!」という
大きな音で目を覚ましました。どうやら天井が鳴ったようです。

ついで、低くて抑揚のない呻き声のような読経の声が聞こえてきました。

微かに『ぬぅえ~、ぬぅえ~』
と聞こえてくるのです。
「どうしようもない。あれが終わるまで起きていよう」
そう決心した矢先、僕はあることに気付きギョッとしました。

919 :読経:01/08/28 19:51 ID:fGkGUmmc
先程から聞こえてくるお婆さんの読経の声は、
ある言葉を紡いでいたのです。

それは
『ぬぅえ~、ぬぅえ~』ではなく、

明らかに
『死~ねぇ~、死~ねぇ~』

と言っていたのです。

920 :読経:01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
「なんだ、この声は?」
僕は慌てて上半身を起こしました。
縁側に老人の顔が見えたのです。

「あれ?」
そうです。どうやら、お婆さんはまだ二階に居るのです。
いや、二階にいるのがお婆さんだとしたら、

目の前にいるのは誰なんだ?

921 :読経:01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
僕の身体は精神ごと完全に固まってしまいました。
縁側に居たはずの老人がこちらに近づいてくるのです。

それも頭の部分だけが・・・。

僕は恐怖と混乱で、隣で寝ている友人を叩き起こすことすら出来ません。

少しでも目を離したらいけない、離せばさらに近づいてくるかもしれない。

そんな気がしていると、視界の端に友人が体を起こすのが見えました。

922 :読経:01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
「じいちゃん!!」

「え?」

 

僕は友人に目をやりました。

923 :読経:01/08/28 19:53 ID:fGkGUmmc
ズザザザザッ!

その瞬間を待っていたかのように、
老人の頭が畳の上を物凄い勢いで僕に近づいてきました。

そして、そのまま大きく口を開けて僕の左足の踵に

ガブリッ とかじりついたのです。
「ぎゃあっ!」

あまりの驚きに声をあげると、老人の頭はスーッと消えてしまいました。

924 :読経:01/08/28 19:53 ID:fGkGUmmc
しばらくの放心の後、僕は友人に言いました。

「お前のお婆さん、今みたいに、お爺さんを
毎晩見てるんじゃないのか?」

「おじいさん」に噛まれたあの感触をいまだに忘れる事が出来ません。

生暖かく、ぬるりととしたあの嫌な感触。

そう、あの「おじいさん」の口は、すべて歯が抜け落ちていたのです。

(終わり)

https://piza2.5ch.net/test/read.cgi/occult/996631052/

-洒落怖


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

洒落怖

S君の自宅

375 :S君の友達:2001/02/20(火) 02:18 前に他のHPでも書いた話ですが、ここにも書いちゃいます。 私の友達にS君という、高校生の頃からの友達がいまして、 そのSくんは家で色んな体 ...

洒落怖

豪快な叔父

290 :ムササビ89 ◆TC5.ZMGs :02/04/10 07:54 これは私の叔父の話です。 叔父は普段から豪快な人間で霊のたぐいは一切信じない人ですが、 特に酒が入るといつも以上に豪快になり ...

洒落怖

読まれたくない

385 :ムササビりべんじ ◆TC5.ZMGs :02/04/11 22:01 それは中1の夏の授業納めの日、私だけ提出物が遅れていて学校に遅くまで のこっていました。わたしが帰ろうとすると、先生に旧 ...

洒落怖

離島の駐在官

493 :493:02/06/27 01:42 私はある離島の駐在所に、勤務しております。 この駐在所に来る前は、派出所に勤務しておりました。 田舎に住む事になりましたが、私は「不運だった」と思ってい ...

洒落怖

バックミラーに張り付いた霊

610 :Λ:02/04/20 23:02 霊感の無い私の唯一の体験をお話しします... もう10年位前、私が大学生だったころ展示会の設営のアルバイトをしてました。 その仕事内容は、展示会に必要となる ...

© 2025 オカルトペディア Powered by STINGER