90 :煙突:02/01/30 18:52
高校時代の頃の話です。
バスケ部だった私は、次の日がインターハイ予選ということもあり、
緊張からか全然寝付けませんでした。
早く寝ないと!と思えば思うほど、眠れずに時間だけが過ぎて行きました。
・・・3時頃、全然眠れず、というか眠くもなく、とにかく頭の中は
明日の試合のことと、早く寝なければの二つだけでした。
軽く汗を流して強引に寝ようと思い、赤いTシャツに着替え、
外を走ることにしました。
20分程度走ったでしょうか、梅雨時ということもあり外は異常にジメジメしていました。
程よく疲れて来たし、早くシャワーも浴びたかったので、近道をしようと思い、
普段のランニングコースを外れて住宅街の中を通りました。
その住宅街はちょっとした森に面しており、真っ暗闇の中、左側の森と右側の住宅街
を挟む、細い遊歩道を走っていました。
その遊歩道に入ってしばらくすると、突然悪寒が走りました。
頭の中では嫌なこと(オバケとか・・・)を考え始めてしまいました。
ふと、自分の走っている足音がおかしいことに気づきました。
自分の走っている足音と、もう一つ明らかに違う足音が、
ペースを合わせようと、付いてくる感じで不規則に聞こえてくる!
小心者の私はとても怖くなり、走っている足を早めました。
当然、息も上がります。すると今度は自分の呼吸とは違うリズムの呼吸が
後ろの方から聞こえます。まるで犬に追いかけられているような感じ、と言っても
追いかけられたことはありませんが。。。
しかし、徐々に後ろから聞こえてくる呼吸がだんだん近くなって来ます。
だんだん、だんだんと・・・。変質者かな?とも思ったのですが、うなじのあたりに
生ぬるい呼吸を感じ、それは変質者どころか、人の呼吸とは思えませんでした。
ひどく土臭いのです。しまいには、吐息は耳元で聞こえます。
全身に鳥肌が立ちました。そして、恐怖に我慢できなくなり、ついに振り返りました。
しかし、そこには何も無く、呼吸も足音も、自分のものしか聞こえなくなりました。
つづく
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つづき
少々ビビりすぎた自分が恥ずかしくなり、ホッとしてまた走り出しました。
ふと、右側の家にある、大きなガラス張りの窓を見てしまいました。
遊歩道に面していることもあり、厚手のカーテンか引いてありました。
・・・当然、自分がその窓に映ります。もちろん映ってました。
最初は気づかなかったんです。赤いTシャツで首にタオルは、いつも走っている時の
服装でしたので。
でも何処かで違和感を感じたんだと思います。
横目に大きなガラス張りの窓を見ながら、再度走り出しました。
私はガラス窓に映った、走る自分を見て腰を抜かしそうになりました。
違和感は、タオルでした。タオルだと思っていたのは、
ザンバラ髪の女の上半身でした。私にしがみついていたのです。
首に巻いていたと思ったのはその女の白い腕でした。
走りながらだし、窓に映った姿なんて見間違えだろ?と思うかもしれませんが、
私にはそれが女の上半身としか思えませんでした。この日はタオルを忘れてたんです。
そして何より、走るリズムに合わせてザンバラ髪を振りながら、頭部がガクンガクン揺れてたんですから。
・・・いつの間にか追いつかれてたみたいですね。
その後は、膝も腰も立たなくなりながらも、逃げるように帰りました。
結局一睡も出来ず、試合もボロ負けでした・・・
後にも先にも、自分の体験したのはこれだけです。
今でも憑いてるかもしれませんが、、、
おわり