不可解な話

ベンチの女

12 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/05/10(木) 01:58
とある公園のベンチに毎朝決まって1人の女が通りに背中を向ける形で座っていた。
女はどんな悪天候の日にも公園のベンチに座る事をかかさない。
雨が降っても傘もささず、レインコートもまとっていない。
顔を見たことはないが、まだ若い女のようで、着ているものも高価そうだが、相当ひどい雨に濡れても平気らしい。
女に誰かが近寄ったり、話しかけたりする光景は見たことがない。
そして、帰宅する時には、ベンチから女の姿は無くなっていた。

やがて季節は変わり、木枯らしが吹き抜けるようになっても、相変わらず女は早朝のベンチに座っている。
服装もたいして変わっていない。
そんな女を横目で見ながら1人のサラリーマンが通りを歩いていると、
彼が首に巻いていたマフラーが突風にもぎとられて、公園の中に入り、女のすぐそばへ落下した。
その女がちょっと普通でない事を知っている彼は、すばやくマフラーを拾って、さっさとその場を離れるつもりでいた。
しかし、この時ちらりと視線を女のほうへと走らせてしまった。
(…!!)
彼は腰が抜けそうになった。
その女には顔が無かったのだ。その顔面は刃物でえぐられて黒い穴と化していた。
しかし、絶叫しそうになった彼は、もう一度女をよく見てみた。
(…マネキン?)
そう、それは惨殺死体でもなんでもなく、顔のえぐられたマネキン人形だったのだ。
長い間奇妙な女だと思っていたのはただのつくりものであったと知って彼はあっけにとられた。
しかし、公園から出て行く際に振り返ると、そこにいるのが人形だと分かっても、
いまにも動き出しそうな本当の女に見えたという。
そして、翌日からベンチから女の姿は消えていた。
まるで誰かが、一部始終を見ていたかのように…。

人形は1人では歩けない。
精密なマネキンを用意して顔をめちゃくちゃにした上、毎朝公園のベンチに運び込んだのは誰なのだろう?
そしてそれらの行為に何の意味があったのだろうか?
それとも何の意味もないのだろうか?

その以来、その公園に、女が腰掛けている光景は全く見なくなった。
しかし、公園なんて何処にでもあるものだ。
誰かがベンチに腰掛けている公園なんて何処にでも…。

https://curry.5ch.net/test/read.cgi/occult/989409611/

-不可解な話
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

不可解な話

ピーマンの肉詰め

224 :1:2011/12/05(月) 15:40:51.53 ID:QPpkrX7L0 昨日、妙なことがあった。 日曜日で雨、俺は一日中家でゴロゴロしていた。 時計を見たら17時過ぎたあたりで、夕 ...

不可解な話

暗闇の森に潜むもの

33 :ヨハン:2001/03/03(土) 00:35 私の怖かった体験です。2年くらい前、山陰の方へ一人旅をしました。 夜中に山の中を車で走っていたのですが、尿意を催したので車をわきに停めました。 ...

不可解な話

スキー場の民泊

305 :某専門板住人(通行人):2001/02/17(土) 14:23 これは自分の体験ではないのですが。 私の古くからの友達から聞いた話です。 その友達が数人で妙高にスキーに行ったのです。 学生で ...

不可解な話

ある晴れたすこやかな朝

837 :中年戦隊・黄ばみブリーフス:02/05/16 21:59 職場の若い女性から聞いた話です。 ある晴れたすこやかな朝、台所からみそ汁のいい薫りが漂い、 外には雀の鳴き声がちゅんちゅんと聞こえて ...

ブログ主のお気に入り 不可解な話

死体の上がらない磯

647 :ムササビ ◆oHOLJw9E :02/04/21 01:50 地方公務員の鈴木敏夫さんの趣味は磯釣りで、週末はほとんどどこかの磯へ出かけていました。梅雨明けに山陰のほうまで出かけた時のことで ...

© 2025 オカルトペディア Powered by STINGER