163 :ムササビ的38話目 ◆TC5.ZMGs :02/04/10 05:38
私、某法律事務所に勤務していました。
ちょっといろいろあったもので、結局退職しましたが…。だって、そこ、『出る』んです。
でも、他の人は全く気がつかないもので、私が精神病にかかったっていうことになってしまいまして…。
そんな『出る』なかから、いくつかお話したいと思います。
それは、もう5年以上前になるでしょうか、いつものように相談者の方がこられました。
ご存知のとおり、法律事務所って、いろんな悩みをもった方がこられます。その時の方は、
民事的な内容だったと記憶しています。
ピンポーン♪入り口のチャイムが鳴りましたので、いつものように部屋に案内しようと、
同僚の子が立ちあがりました。来訪者は私たちの前をとおる形で部屋に入ります。
で、その方が私の前を通り過ぎるのをみて、「今日は二人」と思った私は、
二人分お茶を用意して部屋に向かいました。
そんな私を見た同僚の子は、「何してんの?お客は一人だよ。」と言います。
「え?だって、今の人の後ろをちょっぴり猫背の若い男の人がついて行ったじゃない。
すこしうつむき加減でさー。それに、ソファにも座っているじゃない。あの人の息子サンじゃないの?」
同僚の子は、そんな人はいないと言い張ります。
でもう一度、部屋をのぞいてみました。います。ちょっとやせ気味の、若い男性が…。
冬だからセーターを着て、すこしだけうつむいて、ちょうどその方の息子さんくらいの年恰好の男が…。
『親』に比べて少しだけ軽装かな、という程度ですが。でも、世の中には寒がりでない人もいますし、
別に違和感は感じませんでした。うつむき加減なのも、こういう場所に慣れていないことを考えれば変でもないし…。
でも、私、さすがに、その方に「息子がいるのか?」とは聞けませんでした。
だって、その『息子が座っている』位置に弁護士の先生が座ったんですから…。
『生身の人』の上に人間が座ったら、気がつきますよね…。
でも…先生の『下』に、彼はそのままの姿勢で座り続けていたのですが…。