871 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/11 04:01
豚って知ってるよね。太古より現代に至るまで豚の品種改良と言えば、
その有用な部位を増す事、つまりより胴体の長い品種改良が有史以来
連綿と続けられてきた訳だ。ところが最近ではそれが行過ぎてきた。
胴体が長すぎて一人ではまともに歩けない個体が増え始めたのだ。
だから畜産関係者の間ではこんなブラックジョークが流行っている。
もし、より胴長の6本足の品種が出来たら、全ての養豚業者は…
A君は友人のB君と連れだって北海道へ行った。卒業旅行という訳だ。
二人はレンタカーを借りて気の向くままにあちらこちらを走り回った。
宿が取れればラッキー、駄目なら車中泊、兎に角いろいろと走り回った
そうだ。その旅もそろそろ終わろうかという頃、二人は一面の湿原の
横で車中泊する事にした。月が煌々と照り草原をわたる風になびく葉に
映えてさわやかだった。車のエンジンを切り、雑談もネタが尽き、もう
そろそろ眠ろうか、と外へ爽快な立ち小便をする為に出ていったB君が
ふと助手席のA君に話しかけた。
「おい、なんか人の声が聞こえないか?」
「寝ぼけてんのかよ」 すでにシートを倒していたA君は答える。
「いや、空耳じゃない。確かに人の声が聞こえる」
「勘弁してくれ」
そう言いながらA君が窓を開けると、確かに風に乗って人の叫び声が
聞こえる。
872 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/11 04:02
「おーい」
なんだ、なんだと二人が見渡していると、遠くから数人の人影がこちら
に向かって走ってくるのをB君が見つけた。
「おーい」
こころなしか叫び声もはっきりとしてきた。どうやら先頭の一人を後ろの
数人が追いかけているらしい。
「おーい」
先頭の男は両腕を力強く振り全力疾走している。どうやろ二人の車に気
づいている様で走りながら両手をこちらに振っている様だ。後ろから
追いかけている男達は黒っぽい服を着てこれも何かを喚きながら走って
いる様だが、何を言っているのかは良く判らない。A君もB君も突然の
事態に呆気にとられてその様子を見ていたが、突然B君が運転席に
ダッシュで飛び乗ってきたかと思うと、やにわにエンジンをかけ車を
急発進させた。シートを倒していたA君はひとたまりもなく後ろに放り
出され頭を後ろのシートにぶつけた。
「いってえなぁ。急に何すんだよ!」
声を荒げてA君が怒鳴ったが、B君は何も答えずに車を乱暴に運転する。
まるで今度はB君が逃げている様だ。やっと体勢を立て直したA君が何を
話し掛けてもB君は答えない。青白い顔をしてひたすらに車を飛ばす。
その異様な様子にA君はかっ飛ばす車の中で黙っているしかなかった。
873 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/11 04:02
B君がやっとほっとした様子を見せたのは、町中に入り一軒の終夜営業の
ファミレスを見つけた時だった。
「A、良く聞け」
駐車場に車を止めた途端、話し始めたのはB君の方だった。
「今から俺たちはここに入って一晩過ごす。
朝が来たらすぐに空港へ行って帰るンだ」
「レンタカーはどうする?」
「そんなことはどうでもいい。とにかく一刻も早く飛行機に乗って帰るんだ」
「何を見たんだ? B」
「お前、気づいてなかったのか?」
「男が数人に追い掛けられていたが」
「ああ、全速力でね。で?」
「手をこちらに向かって振っていた。俺達に助けを求める様に
アイツを助けに行くべきじゃないのか、今からでも」
「そんな事はどうでもいい!
アイツは両手をこっちに振りながら全速力で走っていなかったか?」
「そうだな、こんな感じで…」
そのジェスチャーをしようとした時、A君は気づいたのです。
「アイツ、両手を振って走りながら、こっちへ両手を…
4本…」