277 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/03/29 23:57
3年前の夏、束の間の休暇を利用して、日本海側のある海水浴場に
彼女と出かけた。楽しいひとときを過ごし、帰る頃には夕闇があた
りをすっかりと包んでいた。帰り道、近くを走るバイパスをくぐる
小さなトンネルに差し掛かったとき、助手席の彼女が、照明も無い
薄暗いトンネルの入り口でうつむき佇んでいる男の子を見つけた。
キャンプに来た子供かなんかだろうと思い、さして気にせず通りす
ぎたが、何気なくバックミラーを見た瞬間、俺は思わず大声で叫ん
でしまった。なんと、さっきの男の子がトランクの上に乗り、ガラス
に顔をへばりつけてこちらを恨めしそうに見ているではないか。
彼女にも後ろを振り向くように促すと、彼女は身を乗り出して振り
向いた。だが、その光景を見て悲鳴を上げ、気絶してしまった。俺は、
車のスピードを上げ、右折してバイパスに乗ろうとしたが、ハンドル
操作を誤って脇の砂浜に突っ込んでしまった。車は横転してしまい、
俺は彼女を何とか助け出すと、そこで救急車を待った。既に、男の子
の姿は無かった。気が落ち着かず、車の周りをぐるぐると回っている
と、足に何かぶつかった。みると、それは壊れかけた看板で、こう書
いてあった。
「ここに男の子が立っていても、決して車に乗せてはいけません」
その看板は、もう無い。