不可解な話

やすどん

202 :無断転載:02/03/29 01:27
私の実家は鹿児島にあり、子供の頃近所に「やすどん」と呼ばれる
浮浪者風のおじさんがいました。鹿児島では「○○さん」という意味で
「○○どん」と言います。やすどんは身なりが汚いため、
よく子供達に石を投げられたりしていましたが、いつも笑っていました。
かく言う私も石を投げた一人です。

野菜を売ったりして生活しているらしく、三輪の自転車みたいなやつの
カゴに野菜を入れて走っているのをよく見ました。
あるとき、八百屋に野菜を売っているのを見つけ、後で八百屋のおばさんに
「やすどんなんかから野菜を買うなよ。」
と言うと、
「あの人の所じゃ季節外れの野菜が採れるから重宝しとる。」
という返事が返ってきました。

私が小学校2年生の時でした。腹痛で学校を早退した私は、
家に帰る途中に田んぼのあぜ道であまりの痛さに動けなくなり、
そこにやすどんが気配もさせずに突然現れました。驚いている私にやすどんは
「これを飲めば楽になる。」
と言って灰のような薬をくれ、藁にもすがる気持ちでそれを飲むとすぐに
痛みが収まりました。そのときから、あれほど嫌っていたやすどんに
ある種の親しみを感じるようになったのです。

当時いじめられっ子だったこともあり、次第にやすどんと親しくなり、
畑の草取りなどを手伝うようになりました。不思議な畑で、春に茄子が採れたり
冬にスイカができたりするのでやすどんに聞くと
「寒かろうが『頑張って実をつけておくれ』と声をかけて大事に育てると
ちゃんと応えてくれる。言葉には力がある。」
と答えました。

またあるとき私が釣ったアユを持っていくと台所のほうへ行き、
すぐ戻ってきて30分ほど私と話し、また台所へ行って取ってきたアユは
きれいに焼けていたというこがありました。
やすどんは一人暮らしでしたから誰がアユを焼いたか今でも分かりません。

いつだったかやすどんに
「かわいそうに。おまえはおれと少し似ている。」
と言われたことがありました。今考えるとその頃から私は見るようになったのです。

その後中学に上がった私はいじめられなくなり、やすどんの所にも行かなくなりました。
大学に入ってからやすどんを思い出して家に行ってみると廃屋になっており、
八百屋で聞くと、5年ほど前に「小田原の友人が病気だから見舞いに行く」と言って
いなくなったきりだということでした。

https://curry.5ch.net/test/read.cgi/occult/1017317500/

-不可解な話


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

不可解な話

メモリーラプス

375 :ムササビりべんじ ◆TC5.ZMGs :02/04/11 21:50 僕は今年で26になりますが、ふと子供時代を振り返ると、 皆さんもそうだと思うんですが、 記憶がかなりおぼろげになってる部 ...

不可解な話

幼少からの忘れられない記憶

706 :私の体験談:2001/05/02(水) 07:30 私には幼い頃からどうしても忘れられないある風景があります。 戦時中のような裸電球がともる部屋の中で、私は何か茶色の扉のような物を見つめてい ...

ブログ主のお気に入り 不可解な話

終わらない夢の続き

642 :ムササビ(長い) ◆oHOLJw9E :02/04/21 01:28 これは二年前、ホノルルマラソンでハワイ・ワイキキに行ったときの悪夢です 。 私は、トイレ側のクローゼットの方を向いて、ベ ...

不可解な話

換気穴から覗く顔

405 :トイレ:2001/06/06(水) 16:45 夜中に、公園のトイレに入ったのよ。 その公園は交差点の分離帯のようなところにあって、 まあ、騒がしいところにあったわけよ。 公園のトイレってや ...

不可解な話

N君のグローブ

452 :TK:2001/07/12(木) 09:07 僕の小学生時代の友達の話について書きます。 小学生の頃、よく一緒に野球をしていた友達でN君という男の子がいました。 N君はクラス一野球が大好きで ...

© 2026 オカルトペディア Powered by STINGER