199 :無断転載:02/03/29 01:23
タクシーに乗る幽霊という話はたくさんありますが、私の友達が経験したのは、
それとは一風変わった、実に不思議な話です。
ぼくの友達の青木君と上山君が大学生の頃というから、もう20年ほど前のことです。
青木君と上山君は、新車の慣らしのため箱根ターンパイクにドライブに行きました。
箱根ターンパイクは天候が不安定で、よく霧が発生して視界が1メートル先も
見えなくなることがあります。やはりその時も、濃い霧のため徐行しながら
のろのろと車を進めていました。ちょっと前まで晴れ渡っていたのに急に濃い霧が
山道を覆ったのです。まるで異次元の中をさ迷っている感じだったそうです。
行き交う車が霧の中からニュッと出てきて危険なので、歩くような速度で走っていました。
やがて山の峠にさしかかる頃、車の先に歩いている人影が見えました。
霧の中なのではっきりとは判らなかったのですが、どうやら白い服の女の人と
小さい男の子のようでした。はじめは危ないなあと思いましたが、
なんでこんな車しか通らないような所を歩いているんだろうと不思議に感じたそうです。
やがて車が歩いている親子らしい二人を追い越そうとした時です。
二人は歩みを止めこちらに振り向きました。そして道の端に立ち、すり抜けようとする車を
覗き込みました。二人とも無表情でした。助手席に乗っていた青木君は、
ヒッチハイクでもするんだろうと思い、上山君に車を止めてやるように言いましたが、
彼は少しスピードを上げて二人から遠ざかってしまいました。
「なんでそんなことをするんだ、薄情じゃないか。」と窘めると、
上山君は何かいやな感じがしたからだと言ったそうです。
その時の話はこれでおしまいです。
それから一年ほど経って、二人はその車で北海道に行きました。
函館にカーフェリーで渡り、宿をとりました。夜になって明日の目的地の計画を練るために、
上山君は旅館の駐車場に置いてある車まで地図を取りに行きました。
しばらくして上山君が部屋に帰ってきました。しかし彼は地図を持っていませんでした。
それどころか表情は青ざめ、歯の根が合わないほどがちがちと震えていたそうです。
「一体どうしたんだ?」と問うと、すぐに明日車を置いて東京に帰ると言い出す始末です。
そして酒を浴びるように喰らい、寝てしまいました。青木君は何があったか
分からないまま寝ることになりました。
次の朝、上山君は車から荷物を降ろすと宿にしばらく車を預かってもらうように
言って本当に東京に帰ってしまったのです。
青木君は仕方が無いので一人で旅を続けたそうです。
一体何があったのか、青木君はほとぼりが冷めた頃上山君に聞いてみました。
地図を取りに行った車には、一年前に箱根ターンパイクの峠で会った親子が、
リアシートに並んで座って彼を無表情に見つめていたそうです。
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