849 :5mmの女1:02/05/06 16:53
私の友人は霊能力が強い女性でした。彼女が生まれた土地を離れ、
大学に通う為一人暮らしをはじめた頃の話です。
ある時、彼女が学校から帰ってくると、部屋の空気が何かおかしい。
違和感があるのです。「ああ...また入り込んできたな」
今までもこのような違和感を感じると、必ず霊に出会ってしまっていたので
またそれだろうと思い、諦め半分に部屋で寛ぎました。
しかし、その夜は金縛りにも遭わず、何事もなく時間は過ぎていきました。
次の日も、また次の日もその違和感は続きます。
部屋に戻ると、痛いような視線を感じる。誰かがいる。
でも、何も起きない。
今までそれを感じて、霊現象が起きない事はなかった彼女ですが
日々の忙しさにだんだんその違和感がどうでもよく感じられました。
興味を失っても、その気配が消える事はありませんでした。
続く
850 :5mmの女2:02/05/06 17:14
ある日彼女は、さすがにおかしい、と思いはじめました。
日にちが過ぎるごとにだんだん強い気配になっていくというのに、
何も起きないのはおかしい。
彼女はもともと霊現象に馴れている上に気が強い女性です。
今日こそ視線の正体を突き止めたい、と思いました。
いつも通り、部屋に戻って電灯の紐を引きます。
一人暮らしの部屋を見渡しても、何も変わったところはない。
でもこの視線は何なの?彼女は部屋をじっと見回します。
もう一度。何も変わった事はない...。
もう一度。
......?何かが今、視界の隅にちらりと見えたような気がしました。
神経を集中して、視線を辿って、彼女は気がつきました。
目の前に女がいました。
無表情の、真っ白い顔をした髪の長い、同じ年頃の女性が。
吸い込まれるような黒い瞳と髪の。
なぜ今までそれに気がつかなかったのか、彼女は理解しました。
同時になぜそこまではっきり特徴がわかったのか、混乱したそうです。
だってその女性は、体の厚みが5mmしかなかったから。
彼女は5mmの女と、すぐそばで、ずっと一緒の部屋に暮らしていたのです。