154 :ムササビ的34話目 ◆TC5.ZMGs :02/04/10 05:27
これは私が怪我で入院していた時に、同じ部屋で一緒だった人に聞いた話です。
その人は、結婚間も無い頃に広い借家を捜していました。
不動産屋へ何度も通って、安くて二階建ての大きな物件を
探し当てました。多少古い家でしたが何分部屋数も多い事だし、
庭まで付いていたので見に行ったその日に契約を済ませてしまいました。
何日かして家具などを搬入し、新妻と二人でやっと入居したその夜の出来事でした。
その日は、奥さんは何らかの用事で実家に泊まる事になっていたので、
入居初日にもかかわらず本人だけで寝る事になったのです。
その家は本人曰く、特に気味が悪いとか、なにか変な感じを受ける
家では無かったとの事なのですが・・・。
とにかく下の階の一番大きな部屋の壁側に布団を敷いて眠りました。
しばらくして、なにやら大勢でぺちゃくちゃと喋る声が聞こえてきたので、
本人は目を覚ましてしまいました。目を覚ましたと言っても起き上がった
訳では無く、目をかすかに開いた程度でした。
その声が発せられている場所は、自分が布団を敷いた場所の壁の中から
聞こえて来たのですが、目が覚めた時の状態がその壁に背中を向けていた
格好になっていたので、確認するためには寝返りを打って、向きを変えな
くてはなりません。
しかし目が覚めてしばらく時間が経っているのに、その話し声は一向に
おさまらないので、本人もだんだん恐くなってきました。
それでその時は、もう眠ってしまおうと思い目をつぶって
無理矢理に寝てしまう事を考えたのですが、その後もその話し声は壁の中から
聞こえてきます。それどころか、だんだんと大きな声になってきて、
話の内容まで認識できるようになってきました。
一瞬、あまりの怖さにからだがぶるぶるっと震えたその時、話し声がピタッとやんだのです。
本人は、「やっと終わってくれた。」と安心したのですが、その次の瞬間、
「おい、こいつおきてるよ・・・・。」
と男性の声が聞こえたのです。
彼は恥じも外聞もかなぐり捨てて、声にもならない声を上げて、
その家からはだしのまま飛び出していたとの事です。
後日、彼がその家を出ていってしまったのは言うまでもありません