328 :古本屋23号。:2001/02/18(日) 00:15
俺は昔、某有名な古本屋でバイトしていました。
お客の家に行って古本を買い取る買取担当が主な仕事です。
で、ある日一軒の買取の電話が店に入りました。
そこは店からだいたい車で20分ほど南に行ったある一軒家で、
俺は日にちを決めてそこへうかがう事になりました。
で、当日になって俺はもう一人の買取担当のF君とワゴンでその家に
向かいますた。
でも、教えられた住所へ行って見たんだけれど家が見つからない。
教えられた場所にはその家が有りませんでした。
細かく説明すると教えられた場所には空家があるだけで、仕方ないから
その空家の向かいにある駐車場にワゴンを止めて俺一人でその空家を
見に行きました。
329 :古本屋23号。:2001/02/18(日) 00:16
あ・・・向かいました。が、向かいますたになってる。こりゃ失礼。
330 :古本屋23号。:2001/02/18(日) 00:22
その空家は長方形の建物で、下(1階)は何か店みたいな作りをしてたけど
シャッターが閉まってて中は解かりませんでした。
そこには外から二階に行く階段がありました。
でも階段は分厚い板で仕切られててそこから上には行け無い様になってます。
周りも草がぼうぼうで伸びっぱなし。二階の窓から見える中の様子も何だか
荒れてる様で内心「帰ろうかな・・・。」と」思いました。
「まいったな・・・・。こんなとこ絶対に人住んでないぞ!!」
内心そう思いながらも、とりあえずその家の隣にあるクリーニング屋に
聞いて見る事にしました。
331 :古本屋23号。:2001/02/18(日) 00:34
「すいません、この住所って隣の家であってます?」
と、クリーニング屋のおばちゃんに聞いてみると、
「あ~この住所はここから斜向かいの○○さんの家だね。」
「え、隣じゃないの?」
「何言ってんの、隣はずっと前から空家だよ。」
「えっ、空家!?」
「そうよ。隣は1年前ぐらいから誰も住んでないわよ。
二階にも上がれないでしょ?」
確かに二階には板張りが・・・・・。
俺はその時何だか嫌な感じがしてきたのですが、仕事なので
店に帰る事も出来ません。
とりあえず、住所の間違いも解かり、ほっとした俺はF君のいるワゴン
へと戻り、 ドアを空けて中で待っているF君に事情を説明しました。
「だからね、間違いだったんだって♪ほんとはここじゃなくて
斜向かいの・・・あの家が○○さんの家だってさ!!」
ところが彼は俺の説明を不思議そうな顔で聞いてるだけでした。
俺はどうして彼がそんな顔をするのか解からず、少し怖くなりました。
そして彼はとんでもない事を言い始めました。
332 :古本屋23号。:2001/02/18(日) 00:42
「え、何言ってるの?お客の家ってそこの空家みたいなとこでしょ?」
「違うよ!ここから斜向かいのあそこの家だってよ。」
「はぁ?そんなはずないよ、だってお客さん待ってるよ?」
俺はこいつ何言ってんだ?と思ったけど黙っていました。
スゴイ嫌な感じがしたから。
「なんであそこがお客の家なの?空家だよ?」
「だってねぇ、○○さん(俺の名前)俺ずっとあの家見てたけど
さっきからおじいさんが二階の窓から俺達を見てたんだよ?
カーテン越しにず~っと!!」
俺はそれを聞いて急いでエンジンをかけようとしました。
「馬鹿おめぇやべぇぞ!!あそこは二階には上がれねぇんだよ!!」
俺はもう怖くてセルも上手く回らないほど焦っていました。
でもそいつは
「何してんの?居たんだって。早く行こうよ。」
って俺を誘います。
もう怖くて怖くて急いでそこから離れ、斜向かいのお客さんの家に飛び込み
ました。(仕方ないので仕事もキチンとしました)
その間もF君は
「ホントに俺らの事見てたんだって。あそこ人住んでんだよ。」
と繰り返してました。
俺は何も聞こえないフリをして仕事を終えるとすぐに店に帰りました。
未だにあそこに居たその じいさんってのが誰だったのか、解かりません。
何で最初にあの場所に行ったのかも・・・・。
おしまい。