256 :黒故障:02/05/31 20:38
ある引っ越し業者のAさんはその日、先輩達と仕事をしてました。
とりあえず部屋の荷物は全て運び終え、Aさんはぐるっと部屋を見渡し
ました。部屋はすっからかんになり、ふと柱に目がいったのです。
柱には変な物が貼っていました。それはおふだでした。Aさんは少し
無気味に思いました。下の階へ降りようとしてる先輩達に「このおふだ
剥がしてもいいっすよね?」と言うと、先輩は「当たり前だろ。ちゃん
ときれいにしておけよ。」と言い下へ降りました。
Aさんはまずい事してるんじゃないかと思いつつ、おふだに手を伸ば
したその時、電話が鳴りました。自分の携帯かな?とAさんは思いまし
たが、違う。どうやらこの部屋の電話が鳴っている様です。
しかし、さきほど電話回線は切られ、コードをぐるぐる巻にしたばかり
です。電話がつながる訳ありません。
恐る恐る受話器を手にとりました。受話器の向こうで聞き慣れた声が
聞こえます。それはこの業者の社長の声でした。
「おおAか。どうだ調子は?このあと**さん家に行って...。」
Aさんはこの後もう一件、仕事をすることになった。続けて社長は「と
ころでさあ。柱におふだとかあるだろ!?あれって剥がさないでくれよ
な。な。」Aさんは「え!?もう剥がしちゃいましたよ。だってそうし
ろって先輩がいうから...。」社長は「なんで!?なんで剥がしちゃ
うの!??」Aさんは、まずい事したかなあと思いました。
「なあ!!なんで剥がしちゃうんだよ!!」社長は怒鳴りつけました。
Aさんは恐くなってきました。するとだんだん社長の声が低い男の声に
かわり、地の底から唸るような声で、
「なんで剥がしたんだよ!!」
Aさんはそこで気を失い、気がついたらまさに今、おふだを剥がそう
とする瞬間でした。
それ以来、この引っ越し業者に新しいルールが加わりました。それは
「おふだ、又はそれに類似する物にはむやみに触ってはいけない。」
たしか桜金造氏の話です。