643 :ムササビ(長い) ◆oHOLJw9E :02/04/21 01:31
これは本当に小さなころすぎて、記憶が欠片くらいしかありません。
覚えているのは、暗くて黒くて狭い玄関。概観はまるっきり覚えていません。
赤黒い木の階段を記憶しているので、二階があったのでしょう。
その少しあとの、祖母の家に預けられていたころの記憶の方がまだあるのですが、祖母の家の階段はやっぱり茶色の木の階段でしたが、白茶っぽくいつも明るいイメージで覚えています。
緩い坂を母と二人でトンネルの方へと上がって名越の家に帰る途中、ビンのコーヒー牛乳を買ってもらってとても嬉しかった記憶がありますが、やはり雨の日の空のように黒い記憶です。
そして家の中の黒い階段には、いつも知らないヒトが居ます。
というか、階段に上がり途中で倒れ込むように寝てる感じで、上から見ると頭が置いてあるみたいに見えます。
私は母に
「どうして階段に知らないヒトがいるの? 踏んじゃうよ」と聞きました。
すると母は
「あれは、ほっとけばいいから。踏まないように避けて通りなさい」
今思うと、どうして当時の私がそれで納得したのかよくわからないのですが、当時は「踏まなければいいのか」みたいに納得して、それ以上なんとも思わなかったようです。
怖いとも、思っていなかったのではないでしょうか。
ただ私は、自分が見たことのないものや、不思議なものはすぐ手に取って調べる癖がいまだにあるので、まだ母に「なんでも直ぐに手をだして触らないのよ」と言われています。
当時の私にとって、階段のヒトは、怖い存在というよりも不思議な存在でしょうがなかったのかもしれません。
その後、その名越の家から世田谷の方に引っ越しましたが、私が小児喘息と異形麻疹で長期入院となり、けっきょくまたすぐに神奈川へと帰ってくることになってしまいました。
私は、母や祖母のように、よく視るような人ではないので、こういう場でお話できるほどの怖い体験はないのですが、たぶんあの階段の人が、物心ついてから一番最初の[不思議]だったのではないかなと思います。