洒落怖

588 :掌:02/03/24 02:24
高校二年の夏休み。
止めど無く汗が吹き出る、蒸し暑い夜の出来事です。

その日、私の自宅には親友のT君が泊りに来ていました。
私の友人であるからというわけでもないのですが、彼も大の怖い話好きでありまして、その夜も私の怪談話と相成ったわけです。

私がベッドに、T君が客用の敷布団に寝ている状態の六畳間。
外気は益々暑くなってまいりました。
そんな折、私は話を聞いているT君に異変を感じたのです。
彼は苦しそうに『ハァ、ハァ。』と大きな息で体を震わせているではありませんか。
驚いた私はT君に呼び掛けました。
「T!どうした?どこか苦しいのか?」
T君は胸を押さえながらも『大丈夫。大丈夫。』と、私を制止するような格好をします。
しかし尋常では無い息切れの他に、額には大粒の汗をかいてきていたので、私は両親の元へと助けを請いに向かったのです。

すぐにその場に駆けつけた母は、それを『ひきつけ』の状態であると思い込み、すぐさまタオルを口にあてがい私に水を持ってくるようにと言い付けました。
母の言葉に頷き振り向いた瞬間。
私の背中に、とてつもない激痛が走ったのです。
筆舌に尽くしがたい強烈な痛み。
私は大絶叫の後、倒れこみました。
焼付くような痛みはギュウギュウとさらに強まる勢いです。

気が遠くなるような痛みに耐え、這いずりながらも私は流し場に到達しました。
そしてT君への水を確保する前に自分の痛みをなんとかしなければと思い立った私は、調理場にある塩を無造作に一掴みし、自分の背中めがけて撒き散らしたのです。
(塩というのは元来、御清めなど、除霊に効果がある為。)
するとさっきまでの痛みが嘘であったかのように失くなり、体の自由が利くようになったのでした。
私はすぐさまコップに水を汲み、T君と母の待つ部屋へと向かいました。
驚くべき事に、T君もさっきまでの状態とは打って変わって落ち着いた面持ちに戻っていたのです。
『突然、息苦しさが失くなったんだ・・・・・君の方こそ大丈夫か?』
お互いがお互いを心配する問答が続く中、私は気付いたのです。
T君の首に何者かに締められたような手の跡がクッキリと残っていたのです!!
T君を鏡の前につれて行き、首の締め跡について尋ねました。
しかしT君は『こんなものは絶対に無かった!』と主張します。
確かに私とて、それまでT君と一緒に居たわけですから、そんな痕跡に気付かないわけがありません。
しかしながらこうも思いました。
苦しさのあまりT君自らが付けた跡なのかもしれないと。
そして私は考えました。
「自分の背中にも痕跡があるかもしれない。」
すぐさま上着を脱ぎ捨て、鏡の前に立ちました。
『あ!』
驚愕の声をあげるT君。
同時に私も流れ出る冷や汗を抑える事が出来ませんでした。
私の背中のほぼ中央に付いた掌の跡。
紫色に変色したその背中の一部分により、私達は改めて一連の事態が霊によるものであったと思い知らされました。

それから数時間。
自分達の身に降りかかった霊現象について、興奮冷めぬ状態で語り続けました。
時間は午前4時頃。
そろそろ寝るかと、横になる私とT君。
『おやすみ。』と私に声をかけたT君を見て、絶句しました。
T君の背中にへばりつくように若い短髪の女性が寝そべって居るではありませんか!!
そして私を見据えてカパーッと口を開き、顔の形が変形するほど笑ったのです!!

彼女の見せた満面の笑みが今でも脳裏から離れる事はありません・・・・・。

https://curry.5ch.net/test/read.cgi/occult/1015937987/

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