洒落怖

てすと・・・

582 :コピペ:02/03/24 01:42
4年ほど前、売れない漫画家をしていたときに、某マイナー系の雑誌で
そこそこに人気のあった漫画家さんのところに3日間という約束で
アシスタントをしに行ったときの話です。引っ越したばかりの狭いながらも
新築で綺麗で清潔そうなマンションで、その漫画家先生も修羅場の割には
穏やかだし、先輩のアシスタントも気さくで良い人たちで、とても気持ち良く
仕事が出来ました・・・2日目の夜までは。

2日目の夜、皆で眠い目と脳を熱い日本茶で覚ましつつ少し休憩していた
時のことです。誰かがその部屋に元からついているという有線をつけ、
ちょっと懐かしめの歌が聞こえるチャンネルに合わせました。
皆疲れているので無言でそれを聞いていました。すると音が大きくなったり
雑音混じりに小さくなったり・・・。「かえって気になって仕事にならないね」
と漫画家先生が消しに立ち上がった瞬間
「てすと」
と滑舌の良いはっきりした子供の声がしたんです。全員「?」と漫画家先生の
方を見ましたが先生は首を振るだけ。「聞こえたよね?」と誰かが言うと
「混線したんじゃない?」と誰かが答え、先生は有線を消して、皆で仕事に
戻りました。
それから緊張の続く中1時間ほど作業をしていると、今度は天井の方から
「てすと」
というさっきと同じ声がして、続けざまに隣に座っていた先輩アシスタントの
後ろの壁、私の足元と同じ声が・・・。それでも手は離せない私達アシは
震える手を無理に押さえて叫びたいのを我慢して仕事をしていました。
しばらく間があいて、またあの声が聞こえました。それと同時に先生が
悲鳴をあげて飛び上がりました。
「肩に抱きついてる!」
先生は懸命に背中のモノを振り払おうとしましたが、それでもその最中に
「てすと」
という滑舌のいい子供の声が、本当に先生の方から何度も聞こえました。
生まれて初めてそういうモノを見た私は、恥ずかしながらどうやら
気絶をしてしまったようで、その後の騒動は覚えていません(目が覚めたら
他のアシスタント達はなにもなかったように電話の応対をしていたり、朝食を
作ったりしていましたが、先生は寝室から出てきませんでした。ちなみに
私のギャラはちゃんと日払いでいただきました(笑))。
ただ、その先生はその号の原稿を落としただけじゃなく、そのまま連載も
休載から打ち切りになり、最近では見かけなくなりました。
「消えた漫画家」なんてサイトで時々見かける人ですが、どうか誰かは
詮索しないでください。これがここ数年の一番のしこりでした。やっと
人目に晒せて、いくらか浄化されたような気がします。

あの先生もアシスタントの皆も無事に過ごしていますように。

-洒落怖
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

洒落怖

ゲレンデのリフト

740 :739:02/04/17 13:23 リフト あるスキー場での事 友人3人とスキーを楽しんでいたある男が、数日前このスキー場で起こった事故の事を耳にした 事故と言うのはコースのカーブ部分で曲 ...

洒落怖

受験生の集団ヒステリー?

32 :トロ:2001/01/31(水) 18:06 この話は実際に新聞に載ったという前ふりで聞いた話ですが、 私は実際にその新聞を見ていないし何年前かも分からないので、 話を怖くさせるスパイスだと思 ...

洒落怖

霊感体質になってしまった3

*ブログ主注 霊感体質になってしまった2の続編です。 157 :霊感体質3:02/03/28 23:56 こんにちは 私の体験談を掲載していただきありがとうございます。 私の友人に話しても、信じてくれ ...

洒落怖

深夜の学校のプール

625 :競馬好き:02/04/09 06:15 この話は私の男友達(笠井、山中、居田)の体験談です。 去年の夏に三人で、居田の家で酒盛りしてたらしいんです。 何となく盛り上がりに欠けてきて、一人が『 ...

洒落怖

阪神大震災の体験談

79 :大震災:02/03/21 00:05 残念ながら作り話じゃないです。オレが経験した実話です。 6年前の阪神大震災のとき、ホストスナックで働いてた俺は、そのとき一緒に閉店作業を してたカズってや ...

© 2025 オカルトペディア Powered by STINGER