142 :ムササビ的31話目 ◆TC5.ZMGs :02/04/10 05:07
あれは、3年前の10月頃でした。
私は、寝る前にいつもラジカセでCDを聞きながら寝るのですが、
その日もいつものように小さい音で静かな音楽を流しながら眠りに就いたのです。
何時間ねたでしょうか・・・
深い眠りの後、ふと目を覚ますと体が動きません。
「まただ・・・」
私はそう思いました。
俗に言う「金縛り」です。
しかし、私の金縛りは特に怖い思いをするわけでなく、しばらくすれば又眠りに落ちるか、
体が動くようになるだけで、「これは体が寝て、頭だけが起きている状態」だと理解していました。
世間一般で言う霊的な金縛りとは違うものだと思っていました。
しかし、この日は違ったのです。
目を覚ました私は、動かない体を不快に思いましたが
、また しばらくすれば眠るか体が動くかすると思っていました。
しかし、なかなか寝付けませんし、からだも全然動かすことが出来ません。
「・・・今日のは長いな・・・」
そう思った瞬間、ラジカセからCDの音が流れ始めました。
「あれ?もうタイマーで切れてるはずなのに・・・現に今まで切れていたじゃないか・・・」
消さなきゃ・・・
そう思い、何とか体を動かそうとしましたが、なかなか動きません。
「こまったな・・・こんな真夜中に・・・近所迷惑じゃないか・・・」
しかし、何とラジカセの音は段々と大きくなっていくのです。
「え?・・・なんだなんだ?どうすりゃいいんだ!」
私が焦れば焦るほど、音量が上がっていきます。
「ど・・・どうしよう!」
もう、近所迷惑などという範囲を超えていました。
鼓膜が破けるほどの大音響でCDの音楽が鳴り響きます。
「ちきしょう!動け!動けよ!!」
私は必死でもがきましたが、体は一向に動いてくれません。
「ちきしょう!」
私が全身の力を込めて体を動かそうとした時です。
ピタっとCDの音が止みました。
「あ・・止まった!・・よかった・・・」
そうホッとした瞬間。
私の右耳から10cmも離れていない距離で、
「ハァハァハァハァハァ」
と、40~50歳ぐらいの男性のしゃがれた声で荒い息が聞こえたのです。
「わぁぁぁ!」
私はビックリしてしまいました。
その荒い息は段々と大きくなっていきます。
「ハァハァハァッハッハッハッハッハッ・・」
段々と早く強くなる息使い・・・
「やっ やめてくれえ!!!」
私が恐怖のあまり そう叫ぼうとした瞬間、体が動き始めました。
そして、その瞬間にその荒い息使いもピタッと聞こえなくなりました。
「夢・・・・?」
・・・いえ、違いました。
なぜなら、私の右耳はしっとりと濡れていたのです。