91 :ムササビ(17話目上) ◆TC5.ZMGs :02/04/10 04:20
これは私が10年ほど前に体験した実話です。
ちょうど肌寒さを感じるようになった10月上旬頃、
友人2人と私とでドライブをしようということになり、
その頃江東区というところに住んでいましたので、
そこから京葉道路を走って千葉方面に向かい、
土曜日だったこともあって、どこか静かな所へでも行こうということになったのです。
しかし、あの体験は東京から出る前に起こりました。
京葉道路を走っている時、もう1人誘おうと誰かが言い出したので、
京葉道路から細い路地に抜けて、
その友人の住む家へと向かったのです。
時刻は午前1時頃でした。
細い一方通行の道を走っていました。
街灯も薄暗く、まったく人気のない寂しい道でした。
「おい、おまわりだ。」
と、後部座席にいた1人が言います。
運転していた私は、別にやましいことは何もないだろ、と言いました。
ちょうどその時、友人の家はこのへんだったような、
という感じで徐行運転していたので、その警官とすぐにすれ違うようなことはありませんでした。
回りは真っ暗だったので、警官がほんの数メートル先に来たとき、私たちも彼が警官であるということに気付いたのです。
警官は自転車に乗って道の端をゆっくり走っています。
ちょうど通り過ぎる、というところまで来た時に、
「待ちなさい」
と声がかかりました。
窓は全て開いていたので、その警官の声がはっきりと聞こえたのです。
92 :ムササビ(17話目下) ◆TC5.ZMGs :02/04/10 04:21
私は、別に逃げる理由もなかったので(呼び止められる理由もなかったのですが)素直に車を一旦止めました。
警官が自転車に乗ったまま近づいて来ます。
ここで先に申し上げますが、この時何の異変も感じなかったのは、驚いたことに、彼と直接喋った私だけでした。
他の2人は、既に異変に気付いていたのです。
「何処へ行くんだ。」
と警官が私に(私たちだったかもしれません)こう尋ねたので私は即座に
「友人の家へ。」と答えました。
「友人は何ていう人?。」
と警官が質問してきたので、私は「×××君です。」と答えました。
(内心では、その×××君に何かあったのか、もしくは、この辺りで何か事件でもあったのかとハラハラしていました。)
「△△△君は知ってる?」
と尋ねてきたので、
私は「知りません。」と答えました。
この瞬間です。私がおかしいと思ったのは。
警官の顔が異様に青白いのです。そして、制服がやけに古めかしい。
目がキツネのように細いということは、さして気にもとめなかったのですが、まばたきひとつしない、ということに対しては、
さすがに不気味さを感じました。
「そう、わかった。行っていいよ。」
警官はそう言って自転車でその場を去って行きました。
「なんだ、あれ。」
と私が言って後ろを振り返った時、後部座席の2人が真っ青な顔をしてガタガタ震えているのです。
「おい、どうし・・」たんだと言おうとして車の背後へ目をやると、
あの警官が後ろの窓に顔をはり付けて中を覗き込んでいたのです。
私は、恐怖と怒りが入り混じった妙な気分になり、ドアを開け表に出たのですが、信じられないことに、警官の姿はありませんでした。
いえ、暗い中でも存在位置が確認できるくらいの数メートル先で、自転車にまたがったまま、後ろを振り返るように、じっとこちらを見ていたのです。
そしてしばらくすると、自転車をこいで行ってしまいました。
車へ戻ると、2人はまだ震えていました。
2人は、警官が窓にはり付いて中をのぞき込んでいたことには気付いていませんでしたが、
制服のズボンが血だらけだったということには、とっくに気付いていたそうです。
あの場所で過去に何があったのか、今でも全く判りませんし、
調べようとも思いませんでした。