風習、土着信仰

笈神様(おいがみさま)

548 :ある雪の降る夜の恐怖:2001/08/12(日) 08:57
これは、私の身に起こった恐怖体験です………

時は1998年、12月。
当時小学生だった私は、あまり雪の降る事の無い地域に住んでいた為、
ある日雪が降り積もった時、狂喜して弟と共に外に出て遊んでいました。
私はあるマンションの5階に住んでいました。
その内弟が、寒いと言い出し、帰ってしまいましたが、こんな事は滅多に無いのになぁと、
1人で遊びつづけました。

いつのまにか辺りは真っ暗と言うほどでもありませんが相当に暗くなっており、
子供心に結構怖くなってきました。でも雪明りのお陰か地面は明るいので、
もう少し遊ぼう、と決めていたのです。

そんな風にして静かに、1人で遊んでいた時───。

『ドォォォォォォオオオオンンン・・・・・・・』

という、とても大きな音がすぐ側で聞こえたのです。
恐ろしく驚き、一瞬パニックになりかけましたが気を持ち直し、
音が聞こえた辺りに近づいてみました。
そこには、雪の上に直径30センチくらいの丸い球体がありました。
質感や、色は触ったのにまったく覚えていません。

回りには何も無く、その球体が上空から落下してきたのであろうという事は、
幼かった私にも容易に想像する事が出来、本能からか心底恐怖を感じていました。
最初は少しだけ興味を持ち、近づいて触ったりもしてみたのですが、
そうこうしているうち、耐えられなくなり、逃げ帰るようにして家に走り帰ってしまいました。

本当の恐怖は、そこから始まったのです───。

550 :ある雪の降る夜の恐怖:2001/08/12(日) 09:09
その日の夜、私は久し振りに母に添い寝してもらいました。
母に、「あらあら・・・ もう1人で寝れるんじゃなかったの。」
と言われながらも、恐怖に打ち勝つ事は出来ず、そのまま朝を迎える事となりました。
もう雪は完全に溶けていました。親に出来事を話しましたが、そんな訳あるか、と信じてもらえませんでしたが、
泣きながらの必死の訴えに折れたのか、現場を見てきてくれましたが、何も無かったとの事でした。
しかし子供は自分を一番信じる物で、やはり自分の見たことを疑う事はありませんでした。

丁度冬休みで、一週間後には実家へ帰省する、という頃の出来事でした。。。

 

その後、数日間はあの出来事を思い出し、外へ行く事が出来ませんでしたが、
元気に外で遊ぶ弟を見ていると、あの出来事は夢だったのだろうか、と考えるようになり、
いつしか自分も外で走り回っているようになりました。
あのような出来事も無く、いつしかほとんど記憶の隅から忘れ去り、いつのまにか実家へ帰省する日が
やってきました。車で高速を通って、およそ5時間程かかります。
いつものように、自分のお気に入りの携帯ゲームや、本等を前日に用意し、実家へと帰ったのです。

お婆ちゃんや、おじいちゃんに会う事を楽しみにしていた私ですが、実家についた時、凍りつきました。
実家の家の構造は、まず塀に囲まれており、一箇所が門、もう二ヶ所がそれぞれ車庫と
裏口に通じるようになっており、門を潜ってすぐ右側に庭、まっすぐ進めば玄関、となっています。

私が凍りついたのは、門から入り、なんとなしに右側を見たからでした。
そこには、あの球体があったのです。
まだ空も明るい午後5時頃の事です。
色は、ここでも見たはずなのにやはり覚えていません。
触る勇気は、もはやありませんでした。

551 :ある雪の降る夜の恐怖:2001/08/12(日) 09:20
恐怖に打ちのめされそうになりながら、親にしがみつき、父親に球体を指差し、
言葉にならない言葉を発しながら、泣き出しました。
ところが親には何も見えないようで、何故私が泣き出したのかわからず、困っていましたが、
何か大きな生き物でもいたんだろう、という事で納得されました。
ただその時、玄関から出て私達を迎えてくれたおじいちゃんだけは、真剣な顔つきで
私を見つめていました───。

小1時間程本を読んだりして暇を潰した後、夕食を食べる事になりました。
夕食は子供が好きだから、という事でカレーライスでした。
勿論私も大好物なので、喜んで食べました。
ただ、やはりあの球体が気にかかり、心配でした。もちろん恐怖も。

1人で早々に食べ終わらせ、2階の寝室に行き、静かにして落ち着くつもりでした。
2階へ行き、寝転がって本を読んでいると、静かに襖が開き、おじいちゃんが来ました。

おじいちゃんは静かに私の隣に座り、一言漏らしました。
「○○(私です)ちゃん・・・・  笈神様(おいがみさま)が見えるのかい・・・・?」

笈神様。私はすぐにあの球体の事だと解りました。

「お・・・いがみさま?」
「笈神様。庭に安置してある丸いボールがあったろう?あれの事だよ・・・・・」

私にもわかりやすいように、ボール等という言葉を使っていたのをよく覚えています。

「笈神様は、この土地に代々伝わる神様でな・・・・」
「何の神様なの?」
「うーん・・・・ 何もしない神様、かな。一応神様という事になっておるから、悪口は言えんが・・・」

そういって、おじいちゃんは私に笈神様のことを話し始めました。
要約すると、こういう事です。

552 :ある雪の降る夜の恐怖:2001/08/12(日) 09:34
笈神様は、人々に利益を与える事は何もしない神。
だが、人間が悪い行いをすると、それに見合うだけの天罰を降らせる。
しかし人間が人間に対して悪いことをしてもなにも起こらない。

要するに人間ではなく、自然を守る神、という事になるのだろうか。
人間に対してではない悪い行いといえば、自然に対する事しかない。

おじいちゃんも詳しいことは何も知らないそうだが、
言い伝えによれば、何百年も昔から、笈神様を見る事が出来るのは、
数少ない人間のみで、笈神様もその数だけ存在するという。
見える者はそれを祭り、管理しなければならない事になっているという。
また、この話は、この地域の人間は誰もが知っており、天罰を避けて
悪い行いはまったくしないという。

こんな話だった。
子供心に、なんだそりゃ・・・・・理不尽な神様だなぁと思ったが口にしなかった。
しかし、その後とんでもない事を思いついてしまったのだ。
「そんな神様、私が倒してやる!」

私は倉庫から金槌を持ち出し、未だに庭に見える神に近づいていった。
そして思い切って、真上から振り下ろしたのだ。
直撃する瞬間、「ドゴゥォォォォォォォォオオオオオオオオオオン」と物凄い音がし、
それと同時に臭い臭いが漂ってきた。

音に気付いたおじいちゃんが、凄い形相で走り寄ってきた。
私は呆然とその残骸を見詰めていた。

そこには、真っ二つに割れたカプセルと、
半分ミイラ化した、茶色い死体が入っていた。

553 :ある雪の降る夜の恐怖:2001/08/12(日) 09:37
その死体は他の人にも見ることは出来たらしく、
警察も来るおおさわぎになった。

後で聞いた話によると、その死体は凡そ60年前の子供の死体だという。
だが、何故こんなにも保存状態が良かったのかは解らなかったらしい。
おじいちゃんにこっぴどく叱られたが、おじいちゃんの話によれば、
保存状態が良かったのはカプセルのせいかもしれない、という事だ。

あの時、俺が見たカプセルにも、何かが眠っているのだろうか・・・・・・

https://piza2.5ch.net/test/read.cgi/occult/996631052/

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