128 :ムササビ的29話目 ◆TC5.ZMGs :02/04/10 04:52
何年前の事件だったでしょうか。
山と荒れ地の広がる、とある田舎町。
その日は朝から町の寄り合いがあり、
ほとんどの大人たちが家を空けることになりました。
大人たちは、家に子供を残しておくよりは、
みんなで遊ばせておいた方が安心だろうと思い、
家の庭に5、6人の子供を集め、仲良く遊んでいるように言い聞かせました。
大人たちのいなくなった後、
手持ちぶさたな子供たちは自分達の欲求を満たすため、
好奇心にあふれた瞳をあちこちへ向けはじめました。
「あら、起きちゃったの?おねんねしましょーね。」
ふいに一人の女の子が、自分の抱えていたぬいぐるみに、
そう語り掛けた時、その場にいた子供たちの興味は、一気に
そのぬいぐるみに集中しました。
「ねえ、次かして」
「次は俺だ」
「だめ、次はあたし!!」
「これはわたしんだもん!」
一つのぬいぐるみを廻って、取り合いが始まりました。
頭、両腕、両足をひっぱっての奪い合い。
最初はぬいぐるみ欲しさにやっていたことが、そのうち、
引っ張り合うことに興奮を覚え、子供たちの力の入れ具合は
どんどん加速して行きました。その時・・・・・
ブチブチッという音と共に、ぬいぐるみはバラバラに
ひきちぎられてしまいました。
興奮の冷めやらない子供たちは、口々に言いました。
「つまんない」
「他にないの?」
「・・・・・・・!!。あ、ちょっと待ってて!」
その家の子供が、急に家の中へ駆け込んで行きました。
数分後に、両腕に抱えて来たのは・・・。
子供達の瞳はギラギラとそれに注がれました。
数時間後、祖母に世話を任せておいた赤ちゃんが気になり、母親が帰ってきました。
すると、手を真っ赤に染めた子供が走り寄ってきました。
「・・・ちゃんと仲良くしてた?」
「うん!でもねママ、赤ちゃんがちぎれちゃったの。」